私たちは自分の周囲の空間や位置を、耳・眼・筋肉などで感知します。その情報は脳に伝えられ、統合されて、体のバランスを微妙にコントロールしています。
これらのいずれかの機能の具合が悪くなると、めまいやふらつきが起こります。
めまいやふらつきの原因は多岐にわたりますが、約60~70%が内耳の問題、約10%が脳の問題、残りは原因不明もしくはその他の問題と言われています。

めまいといっても、①ぐるぐる回るめまい・②フラフラするめまい・③クラっとするめまい など症状はさまざまです。
①の「ぐるぐる回るめまい」の場合は耳の奥にある「三半規管」の不調が原因である事が多いです。
そのため、耳が聞こえにくくなる(難聴・耳鳴り)こともあります。また、治療せずに放っておくと、そのまま難聴になってしまう恐れもあります。
しかし、「ぐるぐる回るめまい」の場合でも脳出血や脳梗塞といった脳の異常で起こることがあります。
強烈なめまいの場合・強い頭痛がある・「ろれつ」が回らない・手足のしびれ・物が2重に見える・急に飲み込めなくなったなどの症状もある場合には「脳」の病気の可能性がありますので、早急に総合病院を受診されて脳の検査(頭部CT・MRIなど)を受けられることをおすすめします。
また、②フラフラするめまい・③クラっとするめまいの症状の場合は、内科など他の診療科に通院中の方はまずは主治医の先生にご相談ください。頭痛に関連するめまい・脳の血流の不調・血圧の異常・貧血・首の異常・ストレス・自律神経の異常などが原因かもしれません。
ただし②③の症状がある方でも、最近聞こえにくくなったと感じたり、耳から膿が出ている感じがあったり、耳痛や耳鳴りが出てきたなど、めまい以外に「耳の症状」がある場合は耳鼻科も受診するようにしてください。
めまいの診察の流れ
- 当院のスタッフから既往歴、使用中の薬、めまいの経過についてうかがいます。
- 医師により鼓膜の状態など耳の確認を行います。
- 各種検査(受診時の状態により検査内容が若干異なります。)
眼振検査
めまい症状がある人は、眼球が絶え間なく動いています(眼振といいます)。赤外線CCDカメラで視線、頭の向きを変えながら眼球の動きを調べます。めまいの診察には必須です。
標準純音聴力検査
密閉された防音空間でヘッドフォンから流れる小さな音を聞き取る検査です。
低い音から高い音まで様々な種類の音が聞こえるかの検査です。難聴の自覚がない方でも一部の音域の聞こえが悪くなっている事があります。
特にメニエール病の有無について有用な検査と考えています。病状によっては聴力の変動をみるため、受診ごとに行うこともあります。

重心動揺検査
体のふらつき度合いを調べる検査です。開眼時、閉眼時それぞれ立位での一分間の体の揺らぎを記録し、自動分析を行います。
この検査で、平衡障害を客観的にみることができ、さらに障害の程度の把握ができます。
検査の結果、耳が原因のめまいと判断された場合は、薬の治療や生活指導などを行います。初診時は診察、検査等でお時間が必要となりますので早めにお越しください。
